第3章 日常①。
音駒との練習試合を終えた数日後。部活終わりの狭い部室には全員が集まって雑談などをしていた。
そんな中で出てきた話題が家族のこと。
「なあなあ、兄弟とかいる人いないの?」
スガさんが興味津々といった様子でみんなの顔を見た。真っ先に手を挙げたのは翔ちゃんだった。
「ハイ!俺、妹います。夏っていうんです」
「へー、夏ちゃんは何年生?」
「小学…何年だっけ?」
質問したスガさんに"妹の学年すら把握してないのか!"と突っ込まれて翔ちゃんはえへへ、と頭を掻いた。
そこ、照れるとこじゃない。
『翔ちゃんはいいとして…影山くんは?』
「俺は一人っ子」
『ああ!なんとなくそんな気がする。じゃあさ月島くんは?』
「…一応、兄貴がいる」
『へえ!お兄さんも何かスポーツとかってやってるの?』
「まあ…」
珍しく月島くんの歯切れが悪い。これはお兄さんとの間で何かある、これ確信。
もう少し訊こうと思ったら全部山口くんが教えてくれた。
「ツッキーのお兄さんは明光(あきてる)くんっていうんだ。ツッキーに似て背が高いんだ。今は社会人だよ」
「ちょっと山口…」
『社会人ってことは年離れてるんだね』
山口くん、具体的な説明ありがとう。話を聞いて月島くんのお兄さん、明光さんに会いたくなった私なのでした。