第2章 音駒の彼ら。
「じゃーなー」
「今度は東京に遊びに来いよ!」
「次会うときは負けねーぞ!」
「次も勝つからな!」
バスから顔を出す音駒メンバーと見上げる烏野メンバーが別れの挨拶を交わす。
。
「次は負けませんから」
。
「次も負けませんから」
そんなやり取りが聞こえたので後ろを振り向くと、大地さんとクロが握手をしていた。出会ったときと同様にして二人の目は笑っていない。握られた手からはギチギチと不穏な音がする。こ、こわ。
もう残っている人はいないかな。
辺りを見回すと猛虎さんがちょうどバスに乗り込むところだった。
『たーけとーらさーん!まーたねー!!』
私が両手をぶんぶん振ると、気づいた猛虎さんが振り向いた。そして、何故か顔を真っ赤にして何度も頷いていた。
私、何かしましたっけ?
疑問符を浮かべていると、後ろから近づいてきたクロに頭をポンと叩かれた。
「んじゃーま、頑張れよな」
『ん!クロもだよ』
「おう」
短く言葉を交わして、クロは後ろを見ずにヒラヒラと手を振った。その背中がかっこよく見えたことは私だけの秘密にしておこう。
『みーんなー!まったねー!!』
「一日マネージャーありがとなー!」
「元気でいろよー!」
バスから顔を出す走と夜久さんに手を振ると笑顔で振り返してくれた。
そんなこんなで音駒との練習試合は幕を下ろしたのだった。