第16章 エピローグ。
烏と猫と梟と、そして私。
バレーを通じて知り合った彼ら。
時にはバレーをして、
時には喧嘩して、
時には笑い合って、
たくさんの、想い出ができた。
すれ違ったり、
道を見失うこともあったけど、
その度に支え合って、
助け合って、
心の距離も縮まった。
私にはまだ、
誰か一人を選ぶことはできなくて。
でも、みんなの気持ちは、
本当に、本当に、嬉しくて。
溢れる程の想いと、
抱えきれない愛情を、
私にくれて、ありがとう。
好きになってくれて、
どうもありがとう。
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「朱里ちゃーん、行こうか」
『はい、潔子さんっ!』
潔子さんに呼ばれ、駆け出す。
向かうは、仙台市体育館。
そして再会を誓うは、オレンジコート。
折れた翼は、もう、平気だ。
烏は、大空へと、飛び立って―――
「アカリー、早くしろよー!」
『今行くってば!』
向こうで手をぶんぶん振る翔ちゃん。雄叫びを上げるのは田中先輩と西谷先輩。叱る大地さんに、煩わしそうに顔をしかめる蛍くん。その姿に、クスリと微笑む。
大丈夫、みんななら、勝てる。
飛び立つ翼は漆黒の。
手にした武器で仲間と共に立ち向かう。
コートに立ったその姿は、堂々としていて。
『烏野ぉっ…ファイトーっ!』
声援を送る私の胸には、
大切な、大切な、烏と猫と梟の、
大事な、大事な、想い出が。
脳裏に浮かぶ彼らは、
楽しそうに笑っていた。
烏と猫と梟と。 END.