第9章 夏休み合宿~出発~。
次の日の月曜日。
東京から帰ってきて初日の東北は、雲一つないような晴天で、からっとした暑さだった。
今日は翔ちゃんも飛雄くんの姿も見ていない。クラスがそれぞれ違うから会うこと自体は少ない。いつもなら休み時間とかに覗きに来たりするのに、それがなくて静かに感じた。
お昼休み、チャイムが鳴ると同時にユキちゃんが駆け寄ってきた。
「アカリ、お昼たーべよっ」
『…うん、そうだね』
お弁当箱を持った私を、心配そうにユキちゃんが見てきた。
「どしたの、元気ないよ?」
『う~ん、部活でちょっとね…』
翔ちゃんと飛雄くんがすれ違ってしまったことをかいつまんで話すと、そっかぁとユキちゃんは言った。
「男の子でも喧嘩ってするんだね」
『そりゃもう、しょっちゅうだよ』
「それなら、今回もすぐに仲直りできるんじゃないの?」
『そうなることを祈りたいよ…』
はぁ、とため息を吐いて階段を登る。登りきった先には、いつもの屋上。澄みわたった蒼い、蒼い空が頭上に広がる。
すぅーっと深呼吸して、胸いっぱいに新鮮な空気を吸い込む。憂鬱な気持ちを吐き出すくらい、吸ったり吐いたりを繰り返した。
今日のお弁当はサンドイッチ。昨日の夜は不安とか言ってたけど、結局泥のように眠っちゃって、お米をとぐのを忘れていた。
『いただきまーす』
「あ、美味しそう!」
『一個食べる?』
「わーい、タマゴもーらいっ♪」
ユキちゃんと美味しいお弁当を食べてちょっと元気を貰った。ありがとう、ユキちゃん。