第8章 日常③。
~猫&梟チャットその後~
【黒尾 side】
いつも通り部活を終えて、体育館の鍵を閉めようとしていると、慌ただしくリエーフが出てきた。
「クロさーん!」
「おー」
「俺鍵返してきます!」
「んじゃ頼むわー」
鍵を渡すと荷物をドアのすぐ横に放り投げて、猛ダッシュで職員室に向かった。とってこーい!とか言われた犬みてえ。
校門の所に行くと研磨がスマホを睨んでいた。
「どーしたよ研磨」
「コイツ変則攻撃してくる」
「そっちかーい」
案の定ゲームのボスの話だった。しっかし次から次へとクリアしてんだよな。ゲーム会社も赤字になるだろ。
研磨がセーブをしたので、帰ろうと荷物を持ち直すと、またしてもリエーフが猛ダッシュで戻ってきた。
「クロさーん、研磨さーん!」
「リエーフも帰るか、ハミチキ奢るぞ」
「マジすか!?」
「…リエーフが俺らにだけどな」
なんすかー!?とぶーすか文句を言うリエーフを尻目に、俺と研磨はさっさと歩き出した。
後ろからはうるさいのがついてくる。明日も明後日も、その次の日も部活三昧。そんな毎日が楽しいと思う俺だった。
【黒尾 side Fin.】
【赤葦 side】
今は体育館で部活。チームに分かれての練習中なんですが…
「もう俺にトスを寄越すな!」
はい、ショボくれモードの木兎さんです。ちらりとチームメイトに目を向けると、赤葦頼む、と目線で言われる。木葉さんはあからさまに嫌そうな顔。
仕方ないので木兎さんを説得することに。
「ほら木兎さん、続きしますよ」
「あかーし、俺にトス上げるなよ」
「じゃあ夏休み合宿で朱里さんにもこんな姿見せるんですね」
「…よーし、やるかッ!」
はい、楽勝。
いつもより数倍早い復活に、驚く部員たち。朱里さんの名前を出したのは賭けでしたけど、結果としては良かったです。
木兎さんも脈ありですかね?
波乱の一週間になりそうで、俺は珍しく合宿が楽しみだった。
【赤葦 side Fin.】