第7章 トーキョー遠征。
東京遠征の前夜、午後8時。
私たちは深夜に出発することになっている。翔ちゃんと影山くん以外はだけど…
二人には申し訳ないけど、私は普通に出発だから、早く用意しないとね。エナメルに着替えやら何やらを片っ端から詰めていく。
『着替えよし、ノートよし、あとはおにぎり作ったから終わり!』
「ねー、なんでおにぎり?」
テレビでバラエティ番組を見ている、兄さんが訊いてきた。
『いや、移動中のバスでお腹空くんじゃないかなぁと思いまして…』
「わざわざ何十個も作ったの?」
『そう。悪い?』
「その米、俺の給料で買ってるんだけど…」
『公務員なんだし、いいでしょ』
イヤよくねーよ!とかなんとかほざいてる兄さんは完全スルー。
そう、私は兄さんが言う通り、おにぎりを作成した。それも何十個。わかめに鮭などいろいろふりかけを入れて、色鮮やかなおにぎりの出来上がり。といっても、かけて握っただけだよ。大きめのお弁当箱におにぎりを詰めて、蓋をした。
『兄さーん、学校集合だから、11時半になったら起こしてね。仮眠してくるから』
「おー。車出そうか?」
『あ、助かる。お願いしまーす』
おやすみーと兄さんが言うのを聞いて、私はソファにごろんと横になった。兄さんがクッションを差し出してきたので、有り難く頂戴しておこう。
そして、大量のおにぎりと格闘していた私は、すぐに眠りに落ちていったのでした。