第9章 それぞれの旅
目の前でいなくなったはずなのに、その現実を一番受け止めることが出来ないエースは、ただ呆然とその場に立ち尽くす。
イ)「おい、どういうことだ!
トラファルガー・ローつったら今世間が騒いでいるルーキーだろ?
何でお前らと関係がある。なんでクレアが攫われたんだ!」
離れていたとはいえ、怖色の声で叫んだシャンクスが呼んだ名前は、デッキに出ていた者にはほぼ聞こえた。
イゾウが電話を済ませて戻ってきたシャンクスの胸ぐらを掴むが、その手を白ひげが制する。
白)「…流石にこれは冗談じゃすまねぇぞ」
シ)「わかってる。」
止めたとはいえ、庇う気など微塵も感じさせない威圧を全く感じてないというふうに、短く返事をするとシャンクスは近くの席に腰をかけた。
シ)「さっき白ひげと話していたが、俺はお前らの船より前方から来た。
実際間に合っても後ろからだったが、俺らだけだと今日までにそれすら叶わなかっただろう。
…トラファルガー・ロー。
あいつの能力を借りたから今日、お前らを追い越し、前から来ることが出来た。」
少しだけ船内がざわつくも、隊の長達は変わらない表情でシャンクスをただ見ていた。
マ)「赤髪のシャンクスともあろう奴がルーキーの力を借りるなんてねぃ。
海賊同盟でも組んだのかい?」
シ)「組むわけねぇだろ。…とは一概に言えない。
…一時的な“協力”を交わした」
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〜20時間程前〜
小さな島に船が二つ。
少人数と大人数が対峙していた。
シ)「俺たちは早いとこ船を出したいんだが…闘争でもしたいならまとめてかかってくれると助かる」
ロ)「悪いが対立する気はない。
どちらかと言うと逆だ。」
ローは手を出し握手を求める…わけでもなく。
不敵な笑みを浮かべたままシャンクスを見つめ、
ロ)「手をかりたい」
ただ、一言。