第6章 前方注意
朝。
起きると身動きがとれないことに気づく。
わけがわからず、唯一動く首を動かしていると、
貴)「え、あの、…エース…さん…?!」
目の前にエースの体があることに気づき、しばらくしてから抱きしめられていることに気づく。
相手が上半身に服を着ていないため、肌が直接頬にあたり、
その暖かさや筋肉の硬さで顔が段々熱くなるのをこれでもかというほどに実感させられる。
貴)「あの、エースさん!!
起きて下さい!!」
どこか必死なクレアの声に、エースは1度だけ唸るが少し丸まり、逆にまた抱きしめられる。
今度は寝息が首元にかかる体勢になり、もがいてももがいても腕は離れそうにない。
貴)(は、恥ずかしすぎて死ねる……)
若干涙目になってきたところで、なんとか腕を引き抜いて、エースの頬をぺしぺしと叩くとうっすらと目を開けた。
エ)「ん……クレア……?」
貴)「あの、離して欲しいのですが…!」
煩い鼓動が聞こえているのではないかと心配していると、1度離れた顔がもう一度近づいてきて、
貴)「………え?」
そのまま唇が重なった。