第5章 能力の闇
私はただ助けたかっただけなんです
幼いあの子供が苦しそうで
心臓が小さかったあの子に
誰かの心臓を少し与えたら治るって
あの子供を…助けたかった…?
…違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
助けたかったのは自分
助けられたのも自分
こんな私にも人を助けることが出来た?
助けた子供の笑顔を見ることが出来た?
屈託のない眩しい笑顔で笑う子供を
私は見るのが困難だった
その子供の笑顔が眩しすぎた
早くその場を去りたかった
自分に“死ね”って何回も唱えた
死ね死ね死ね死ね死んでしまえ
何が“もう苦しくない?”だ
何自分が治した面しているんだ
治したのは紛れもなく
私が殺した人