第15章 けんもほろろ
船がどこかについたのか、モーター音が完全に止んだ。
シ)「クレアちゃん…」
どこか辛そうな声でシャチさんに話しかけられる。
…言われることは、大体わかってた。
シ)「あんな言い方してるけど、船長本当にクレアちゃんのこと心配してるんだよ…」
シ)「何回も聞かされて、聞き飽きたかも知れないし、
こんな状況でこんなこと言われても受け入れ難いかも知れないけど。
船長は優しい。
クレアちゃんが酷い状況に置かれてるのもわかってるけど、俺らは船長のやってることは間違ってないから従ってる。
…ごめんね」
はっきりとしてるのに、随分と悲しそうな声でそう言われた。
…わかってる。
だって、たとえローたちの計画のためだとしても。
どうしても私の能力を敵に取られたくないなら、殺せばよかった。
なのに、こんな形で閉じ込めるなんて。
…まるで、守られてるみたいで。
私の中で、その優しさが。
どうしても歯痒くて、許し難かった。