第13章 差し引きゼロ
ペンギンさんと別れた後、1迷子した後にローの部屋に戻って今日買ってもらったお花を袋から出す。
貴)「…綺麗」
鮮やかな藤色の小さな花が集まり、房のように実を咲かせる。
水面に映る藤色にも思わず笑みが零れた。
飾る場所を探して室内を見渡すと窓際の棚が目にはいり、其処に置く。
貴)「うん、いい。」
ピンクはローが嫌がりそうだし、白は壁紙と被る。
青は窓の外に沢山あるし、紫ってベストチョイスだったかも。
部屋をぐるりと見渡しながら色を探してそう思うとふとゴミ箱に目がいく。
貴)「…」
今朝、ローに捨てられた箱。
推測だけどきっとこの船に、ローの小さい頃の写真はあれしかないと思う。
それを、あんな簡単に捨ててよかったのかな。
…一緒に笑ってた男の人は、誰?
黒く塗りつぶされた人達は、ローにとっての、何?
ぐるぐると頭に疑問を浮かばせながら、ゴミ箱から少し凹んだ箱を取り出す。
知りたいから、見たい。
ローのことを、知りたいから。
理由付けた理由で、私は箱を開く。
さっきは写真しか見れなかったけど、他にも紙や黒い羽根を見つける。
紙を広げると、幼い字で書かれていた。
貴)「“コラさんへ”……」