第13章 差し引きゼロ
〜談話室〜
貴)「ふふ、笑いすぎてお腹痛い…」
シ)「俺も」
2人で床に寝転がりながら笑っていると、部屋のドアが開いてペンギンが入ってくる。
ぺ)「お前らの笑い声、船内中に響いてたぞ」
シ)「はいはい、煩くして申し訳ありませんでしたっ」
ペンギンの言葉を小言と受け取ったシャチは不貞腐れたようにそう言い返すも、ペンギンはちらりと床を見る。
ぺ)「…シャチ、サングラス取れてる」
シ)「うわっ、本当だ」
シャチはペンギンの声に勢いよく起き上がり、目元を手で隠したままサングラスを拾い、掛け直す。
貴)「じーー」
シ)「え、何?」
貴)「何でシャチさんってサングラス掛けてるの?」
クレアの質問と眼差しにシャチは1度戸惑ったように息を止めるも、すぐに笑う。
シ)「ほら、船長言ってたじゃん。
素顔を隠すのがこの船のルールだって。」
ぺ)(…船長のごまかし方雑だな)
陰でペンギンが笑っているのを無視してシャチがそう答えると、クレアは微笑みを見せた。
貴)「でも、ここ船の中だから大丈夫でしょ?」
シ)「…ソウデスネ」
貴)「あー…でも嫌ならいいよ?」
墓穴を掘った、という顔をするシャチを見てクレアは苦笑いを浮かべる。
その言葉を聞いて、シャチは困った様に笑った。
シ)「……ううん、サングラスの下、
俺は好きなんだ。」
ぺ)「…」
シ)「ねえ、クレアちゃん。
俺の眼、見てくれる?」