第9章 ハレイロ(神谷)
「この辺で大丈夫?」
車を止める。
「はい!ありがとうございます。」
紗友ちゃんがドアを閉め、俺が窓を開ける。
~~♪
「この曲!」
スピーカーから微かに聞こえるこの曲。
「え…この曲入れたつもり無いんだけど…」
「神谷さん?この曲何て曲なんですか?」
「『ハレのち始まりの日』だよ…」
「誰が歌ってるんですか?」
「………俺……。」
「!?」
「神谷さんって歌手なんですか!?」
「うーん。色々やってるよ。」
「?」
首をかしげる姿が可愛いな。
ブワッと冷たい夜風が俺たちを包む。
「寒いから早く帰った方が良いね。」
「じゃあ、おやすみ。」
そう言って俺は、窓を閉めた。
軽く手を振ってからアクセルを踏んだ。