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Season~声優さんと一緒~

第32章 wolf(八代)


「拓ちゃん。見て見て!」

「ん?どうしたの?」

目の前に差し出されたチケット。

そこに表示された見覚えのあるイベント名。

「これは?」

「え?私のチケットだけど。」

「まさか紗友ちゃん自分で取ったの?」

「そうだよ?拓ちゃんの話聞いて、作品も見たし。」

ボクの出演作を見てくれたって事?

「私はね。あの子が好きだな。拓ちゃんの演じてる男の子。」

ちょっと待ってよ。

見てくれた上にボクのキャラクターが好きなんて。

「ライブがあるって知ったら行きたくなっちゃって。」

思考回路は既にショートしてるよ。

ニコニコ笑う顔にボクは何度もまばたきを繰り返すことしか出来ない。

「ね?ね?ここ!見て?」

指差された場所に記載された座席番号に驚きが隠せない。

「すごいでしょ?」

得意気に視線をボクに向ける姿が可愛くて。

「………あ。うん。スゴすぎて驚いてる。」

そんなボクの動揺に気付いてないようで話は続く。

「初めて行くんだけどね。すっごく楽しみにしてる!」

「色々準備しないと。」

ブツブツ言いながら、持っていたチケットをバックに入れる紗友ちゃん。

「……あのさ…本当に来るの?」

視線は泳ぐし。

こんなに動揺するなんてね。

「何言ってるの?」

「行かない理由が見つからないよ?」

そう言えば聞こえる鼻歌。

ボクのチーム曲だね。

ようやく繋がる回線。

うん。楽しませてみせるよ。

そんなに気に入ってくれたのなら頑張らない理由が見つからないよね?



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