第20章 MERRY CHRISTMAS(宮野)
「紗友~。MERRY CHRISTMAS!」
赤い三角帽の先には白のボンボン。
「サンタさん…?」
手元を見れば、ケーキとシャンパンボトル。
シャンパングラスとお皿とフォークは、既にテーブルに置かれている。
「日付上では、クリスマス当日ではないけど。」
「うちの業界では、まだ25日は終わってないからね。」
「こうして一緒に過ごせる事に感謝してるよ。」
グラスに注がれたシャンパンには、一筋の気泡が上る。
カチンッとテーブルに置かれた私のグラスに触れて透明な音が響く。
その音と共に、目頭が熱くなる。
「真守さんっ…ごめんなさい」
「真守さんの方が忙しいのにっ…」
「気を遣わせちゃって…ごめんなさい。」
「気が利かない彼女で、ごめんなさい。」
そう言えば、痛いくらい抱きしめられる。
「そんなに謝らないで。」
「謝って欲しいなんて思ってないよ。」
「これからもお互いすれ違う時間が多いかもしれない。」
「でもね?俺は、紗友の傍に居たいんだ。」
「隣に居られなくても、気持ちはいつも寄り添ってるつもり。」
「………重いかな?」
はははっと笑って、額に口付ける。
「ありがとうございます。」
「来年のクリスマスも一緒に過ごしましょうね?」
「うん。そうだね。まずは、初詣に一緒に行こうか。」
これから先も一歩一歩、歩んで行きましょう。