第20章 MERRY CHRISTMAS(宮野)
戸締まりを終えて、外に出るとすでに街のイルミネーションは落とされている。
空を見上げれば、月。
「クリスマスなんて味わう事無く過ぎるのかな…」
少しむくんだ足を撫でながら、大通りへ向かう。
何度手を挙げても、通り過ぎるタクシー。
通り過ぎる車は、幸せが溢れんばかりの男女の姿。
「本当に勘弁してよ…」
ふぅーっと大きく息を吐き出せば、白い気体となって空へ消えていく。
「サンタさん…良い子にしてないと来てくれませんか?」
ポツリと呟く自分に失笑。
「いくつなのよ…」
佇むこと10分。
ようやく捕まったタクシーに乗り込み帰路についた。