第14章 short(達央)
「さぁ。仕上がりましたよ。お客様?」
視線をあげて、鏡を見つめる。
胸元まで伸びた髪がバッサリ。
チラッと見えるピアスが見慣れなくて恥ずかしい。
「わぁ~。雰囲気変わりましたね!」
アシスタントさんが微笑んでくれる。
「ショートでも女性らしいだろ?」
得意気にフフンと笑う。
「どう?」
「すごく良い!」
「大好きな彼も驚くだろうな?」
「うん。ありがとう!」
「早く帰って見せてやれよ。」
「うーん。今日まで福岡だから、会うのは明日以降かな。」
会計を済ませ、サロンを出る。
今まで当たらなかったうなじに夜風が当たる。
恥ずかしさに肩が竦む。
「早くタツに会いたいな。」