第2章 無力
『ローさん…私…。』
ローさんの表情が心なしか不機嫌に見える。
気圧されてしまいそうだ。
顔を見ないようにと、うつむく。
すると、それを察したのかローさんは私の肩に手を置いた。
顔を上げると至近距離にローさんの顔が。
『ローさん?』
ローさんは私をやさしく抱きしめ、耳元で囁いた。
「ローでいい。」
耳元で話されたのがくすぐったくて。
ローさんのセリフが予想外にかわいくて。
胸がキュンキュンする。
「キャプテーン!!島についたよー。」
あ、さっきの喋るクマ…
私がクマを見ていると、横から笑い声。
『ローさん、どうかしましたか?』
私が声をかけた途端、ローさんの笑いが止まった。
腰を強く引き寄せられて、唇にやわらかいものが触れる。
「ローでいいってんだろ。」
ローさ…ローはいたずらっぽく笑った。
不意にキュンときた。
「本当に殺しちまったかと思った。」
そう言うとローは強く、私を抱き締めた。
「さ、行くか。島だ。」
「アイアイキャプテン!!」