第41章 心模様
一度こぼれだした涙は、止めようとしても止められなかった。
ぼろぼろと涙を流す私を見て、旭先輩の眉根がぎゅっと寄る。
「黒崎」
名を呼ばれたと思った次の瞬間には、旭先輩の体が私の体をふわりと優しく包んでいた。
壊れ物を扱うようにそうっと私の頭に触れる旭先輩の手のひらの熱が、じわりと心まで溶かすようだった。
旭先輩は小さな子供をあやすように、ただ静かに頭を撫でてくれた。
嗚咽をもらす私に、涙の理由も何も聞かずに、ただそばに寄り添ってくれた。
ずるい事だと思ったけれど、誰かに支えてもらっていなければ、倒れてしまいそうだった。
旭先輩の優しさに甘えてすがった先輩のTシャツは、どこか甘い香りがしていた。