第4章 木曜日
沖田がさっさと店に入った為に、全蔵の台詞は空しい独り言になって収まり悪く宙ぶらりんになる。
「・・・これがすんだら金輪際万事屋と真選組にゃ関わんねえぞ、俺は。当分ひきこもってやる。お外怖い・・・・・・・・・・」
ドガチャーン
呟いた全蔵の目の前を、書店の自動ドアをぶち破って沖田が水平に飛んでいった。
「・・・・・・・・・・・・は?」
右から左にそれを見送って、全蔵は頭を掻いた。
「あ・・・・」
もじゃもじゃの馬面と、ちょっと目のいってしまってる男前の運転する二台のカブが車道の沖田を乗り越えて、軽くウィリーしながら走っていく。
「・・・・あ、水曜どうで・・・・?・・・木曜だぞ、おい・・・・」
続いてワゴン車がドコンと沖田を踏んづけて走り去る。
「・・・・・ふ、藤村く・・・・あ、サイン下さい・・・」
「・・・・・・この、クソ忍者・・・・・き、救急車なんか呼ぶんじゃねえぞ・・・俺ァチーム211にゃ、入んねえ・・・・・チーム入るんならナックス入ってやらァ・・・・・うう・・・」
「北海道に行くのか?ヒグマに気を付けろよ?」
呻く沖田に我に返った全蔵は、さっさと懐からスマホを取り出して緊急番号を呼び出した。
「・・・・・・ク、クソ痔がぁ・・・・」
「後から行くからよ。211の皆によろしくな」
沖田と一緒に吹っ飛んで来たヤンジャンを拾い上げて、全蔵はニヤリと笑った。
「見舞い楽しみにしてろ」