第4章 木曜日
「え?ああ、沖田があまりにも相変わらずなので、つい・・・・」
「自分の女をブタ呼ばわりされるってのは、つい聞き逃せる程度の話か・・・?そういうモンなのか?参考までにちょっと聞かせてくれねえか、河合」
「ああ、そらいいや。旦那が万一女と付き合う事があったとして、相手ァ絶対ブタに違ェねえでしょうからねィ。万万が一ブタじゃねえにしろ、俺ァ間違いなくそのメスブタをブタ呼ばわりしまさァ。今から覚悟しといた方がいい」
「・・・・そんなに好きか、ブタが。ブタブタうるせえんだよ、お前は。あんまブタブタ言ってるとそのうちテメエがブタになんぞ?」
「俺がなるなら並みのブタじゃありやせん。東京Xの飛び飛びになりまさァ。旦那なんざ生涯お目にかかれねぇプラチナポークですぜ?」
「プラチナだかプラスチックだか知らんがブタはブタだ。さっさと酢豚にでもなってろ東京X」
「いや、そこはトンカツで頼みますわ」
「・・・・トンカツでいいのかよ。案外安いな、お前・・・」
「何だ、旦那。ブタはトンカツに始まりトンカツに終わるってのァ常識ですぜ?知らねえんですかい?俺の名言でさァ」
「・・・・得意顔で何言ってんだ、このポルコ・ロッソが。手前の名言なんざ知らねえよ、何だそら」
「え?お呼びですか?」
またも熱視線を浴びせようとして来た河合宗良を掌で遮って全蔵は物凄いしかめ面をする。
「何か俺、お前らにジワジワ殺されかかってないか?どんどん弱ってく自分を感じるんだけどよ。気のせいか、このダルさは」
「いや、旦那、そりゃ気のせいじゃねえ。リアルでさ」
「・・・・俺は帰るよ。二人でブタの話でもしてろ」