第41章 月島蛍は審神者である。5
「山姥切、どうしても無理?」
月島だって初期刀の秘蔵っ子山姥切に嫌な事をさせたくなかった。
しかし三日月はポッキーゲームを所望する権利がある程度にはきっちり刀としての本分を勤めている。
「何なら蛍でも良いぞ?」
煙管の様に器用にポッキーを咥えたまま三日月が云う。
途端山姥切の肩がビクリと震える。
「じゃあ……」
山姥切のまんば布代理のブランケットから手を離させようとする月島を押しのける彼。
「お、俺がやる!」
「山姥切は男気全開じゃなぁ」
ほほ、と笑う三日月。
「月島、あの……あまり見ないでほしい」
三日月の方に向き直りながらも首を曲げ山姥切が云う。
「初い山姥切のは愛らしいのぅ」
三日月はやっと叶う褒美に満悦だ。
「そういう言葉は止めろっ」
云いながら三日月に顔を近付ける山姥切。
「山姥切の、本当は寵愛が欲しいのだろう?」
ずい、と山姥切を抱き寄せその耳元に囁く三日月宗近。
山姥切は途端顔といわず耳、手に至るまで真っ赤に染まる。
「引いてばかりでは伝わらぬ。さぶらいならば推して参るぞ」
男らしく云う三日月に不覚にも山姥切も感じ入らざるを得なかった。