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【黒子のバスケ】初心な二人

第2章 手をつないで歩くことから


下の名前で呼び合うようになってから数日。
お互い呼ぶ事にも呼ばれる事にも慣れてきたと思う。
ぎこちなかったものが自然になった気がする。
喜ばしい進展だ。

「伊月君、やっと呼ぶようになったのね。みょうじさんの名前」

練習の休憩中にカントクに話しかけられた。
今まで何も言ってこなかったから特に気にしていないと思っていた俺達の関係を、やはりというかなんというか、カントクは気にしていたらしい。
首を突っ込むのが好きそうなカントクの事だ、出来る事ならそっとしておいてほしかった。

しかしよくよく考えてみれば、俺達男には分からない女の子の気持ちを知るのに好都合だ。
たまにカントクに相談してみるのも悪くないかと思った。

「あぁ、まぁ、日向に背中押されてね」

「やるじゃない日向君!」

バシッという痛々しい音と共にいてぇ!と日向の声が響いた。
あの威力で背中を叩かれれば日向でなくとも声を上げる。
仲が良いからこそだろうが、俺は遠慮したい。

「じゃあ次のステップに進まないとねっ」

「次?」

「そうよ、次。なぁに、伊月君は名前呼べたらそれで満足なわけ?」

確かに今の現状に満足はしている。
だがその先がある事は分かっているし、欲もある。
俺は今高校生でお年頃ってやつだ、無理もないだろう。…と分かってほしい。

やっと名前を呼べるようになったのにもう次。
名前を呼ぶ事さえ緊張したし時間がかかったというのに、こんなに早く次へ次へと進んで俺の心臓は大丈夫だろうか。

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