第45章 あげられない
「オレ、考えてみた。春風って、谷地さんと20センチくらいの身長差があるじゃん」
「それがどうした」
「谷地さん、首疲れないのかな?」
───
「私!?私は、疲れないよ!かなたちゃんが屈んでくれたりするから」
『日向。それ、私に失礼だとか思わないの?私だって身長のことで悩んでるのに…しかも、まだ伸びてるし』
「それなら、その身長くれ!」
「無理に決まってんだろ。日向ボケ」
『私だって、あげられるならあげたいわ』
「すっげぇぇぇ悔しい!!」
「でも、女子にしては高いよな」
『また蒸し返す。影山、私に喧嘩うってる?』
「ち、ちげぇよ!」
「喧嘩しないで、仲良くしよ。ね?」
『そういうこと言うなら、月島に勉強教えてもらえば?』
「え!?無理、ムリムリムリ!!影山、謝れよ!」
「うぐ…す、スンマセン、でした」
「そんな!大丈夫だよ。かなたちゃんも意地悪しないんだよ」
『イヤ。影山が最初に言ってきたんだもん』
「(だもん、とか…やべ、何か心臓バクバクする!)」
『影山?聞いてるの?』
「何か、一人の世界に入っちゃってるのかな?」
(あ、そうだ。影山、日向)(な、何だよ)(何でそんなに喧嘩腰なんだ?影山)(この後、仁花がうちにご飯食べに来るんだけど…食べてく?)(おぉ!いいのか!?)(お父さんが休みだと思ったんだけど、急に仕事になっちゃって困ってるの)(かなたちゃんのシチュー美味しいんだよ!!)(普通のシチューだけど、よけれb)((食う!!))(う、うん)