第9章 狂った世界。
次の日、私はいつものように学校へ向かった。
特に変わった事はなかった。
いつものように学校へ行き、
乃亜と喋っていた。
「乃亜…ハコブネ…ノアの箱舟!!」
私は乃亜と話していて、
ふと思い出し思わず口に出してしまった。
「えぇ?急になにぃ?」
乃亜はポカーンとした顔で私を見た。
「え!?あ、いや、なんでもない。」
私はすぐに誤魔化した。
「ねぇ、雛ちゃんは、ノアの箱舟の話知ってる?」
乃亜は私の顔を覗き込んだ。
「ん?聖書か何かの話だよね?」
「そう。神様がね、ノアさんって言う人に船つくってーってお願いしたの。」
「うんうん。」
「でね、その船にたくさんの食べ物と全ての動物のつがい(夫婦)を1組ずつ入れてって頼んだの。」
「へぇー。」
「ノアさんは言う通りにしたの。そしたらね、大きな洪水が起きて、箱舟の中の人たち以外はみーんな死んじゃったの。」
「…。」
「神様は人口が増えすぎて、悪に染まっていくものが増えた世界が気に食わなかったの。だから…きっとリセットしたの。」
乃亜は話終えるとニコっと笑った。
「乃亜はね、この物語のノアさんのように神からも認められる正しい人であってほしいっていう願いで乃亜って付けられたの。」
乃亜はそう言ってニコニコ笑っていた。
でも、
私は"ノアの箱舟"の話を聞いて
なんだかゾっとしてしまった。
上手く笑えていなかったかもしれない。