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天剣は春色を映して

第2章 第二章


「お勘定、払いまーす」
宗次郎が明るい声で財布を取り出す。


「はーい」
店の女性が出てきて、宗次郎が女性にお金を渡した。


桜餅を一口食べる。


美味しい・・・・・・。
幸せな味・・・・・・。


私はいつの間にか微笑んでいた。


「・・・・・・時音さんの笑顔が見れて嬉しいです」
宗次郎が私を見つめて微笑んでそう言った。


心臓が跳ね上がった。


「ごほっごほごほ」
むせた。


「大丈夫ですか?」
宗次郎が背中に手を置いてくれる。


「大丈夫」


宗次郎からもらった桜餅をじっくり時間をかけて食べた。


「美味しかった。ありがとう宗次郎」


「いいえー」
にこにこしている宗次郎が可愛い。


「それにしてもすぐ医者が見つかって良かったです。人里には必ず医者が居ますね」


「そうだね」
幸せで私までにこやかになってくる。


「では、行きましょう」
宗次郎が私を抱えて立ち上がった。


「ご馳走様でしたー」
宗次郎が明るく店の女性に言う。


宗次郎の顔を間近で見る度に心臓がバクバクして止まらない・・・・・・!!


「行きますよ」
宗次郎が小さく囁く。
そして地面を蹴った。


さっきみたく強く風が通り過ぎていく。
景色も目に止まらない程速く流れていく。


肌に当たる風の冷たさを幸せに思った。
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