第1章 第一章
「・・・・・・じゃあさ、この刀じゃなくてもっと別の刀を買ったらどうかな?この刀、狙われているみたいだし・・・・・・」
「そうですね・・・・・・確かに・・・・・・。僕が最も欲しいのは緋村さんの逆刃刀だし・・・・・・」
「うん!その逆刃刀っていう刀を探しに行こうよ!」
「えっ・・・・・・」
宗次郎が驚いた表情で私を見る。
「ねっ?」
私は宗次郎に満面の笑みを向けた。
「逆刃刀は・・・・・・今、もう誰も創っていないんですよ。明治時代に入り、廃刀令が下されて・・・・・・。もう刀鍛冶の人々は何も創ってないんです。闇取引のために創る職人は居るでしょうけど・・・・・・あとは警察とか政府に頼まれた場合や、後世に伝えるために創る職人なら居そうですね」
うーん・・・・・・。
私・・・・・・何か宗次郎の役に立てないかな・・・・・・?
「とりあえず刀を創ってる職人さん達を片っ端からあたってみない?宗次郎はこの刀と逆刃刀、どっちが欲しい?」
「・・・・・・逆刃刀です」
「よし!朝になったら早速探しにいこう!」
「時音さん、怪我の方は?医者をまず探さないといけませんよ」
「これくらい平気!!今、私動けるし、その・・・・・・少しでも宗次郎の役に立ちたいんだ・・・・・・」
「・・・・・・明日はとりあえず医者を探します。逆刃刀の職人探しは後ほどお供願えますか?」
宗次郎がにっこり微笑んだ。
宗次郎――・・・・・・!!
うん!!あなたのためならなんでもする!!
「私を頼ってくれてありがとう!!」
私は宗次郎の手を両手で握った。
「行こう!」
宗次郎の手を引っ張って駆け出す。
「時音さん・・・・・・」
宗次郎が戸惑いながら私に引っ張られてついてくる。
「宗次郎だって平和な日常が好きでしょ?」
笑顔の私に、宗次郎はクスッと笑って
「そうですね」
と答えた。