第15章 〈南九〉あなたと共に

「うーんと……これだと若の清らかな雰囲気とは合わないな〜……」
「……」
　南戸は短いスカートを持っては、久兵衛の雰囲気に合わないと言って元の場所に戻す動作を繰り返していた。
「南戸……」
「何ですか？」
　南戸は深い緑色で白いレースの付いたゴスロリ系のスカートを手に取って、久兵衛を見た。
「……僕は……そんなに“すかあと”が似合わないのか？」
「……へ？」
　南戸は目を点にした。
「さっきから、僕に似合わないと言って元の場所に戻してるから……」
「あー、違うんですよ」
　スカートと久兵衛を見比べて、南戸は久兵衛の誤解を解くように優しく言った。
「俺が若に選びたい服は若の雰囲気を壊さないような清楚な服なんですよ」
「……せいそ？」
「そうです。さっきまで見てた服はギャルっぽい感じだったので……」
「そうか……すかあとが似合わないと言ってた訳ではないのだな。勘違いしてすまなかった」
「いえ、気にしてませんよ」
　南戸はにこりと微笑んで、再びスカートへと目を移した。
「うん、これなんかどうですか？」
「……これか？」
　それは少しふわりとしている茶色のミニスカートだった。
「それで、このスカートにこれを合わせると可愛いと思います」
「……」