第15章 〈南九〉あなたと共に
「……ふぇ……」
1人の女の子が道を歩きながら、泣きそうな顔をしている。ーーどうやら、誰かにイジメられたらしい。
「ふぇ……妙ちゃん……」
女の子はまだぐずぐずしていた。
「九ちゃん?」
女の子がある家の門の前に来た時、誰かの声がした。
「……粋ちゃん……」
粋ちゃんと呼ばれた男の子は驚いた様子で女の子を見た。
「どうした? 何かあったのか?」
女の子を慰めながら、男の子は優しく聞いた。
「ふぇ……寺子屋の男の子達が……僕のことをイジメてくるんだ……。僕が男の子の格好してるから……」
その話を聞きながら、男の子はだんだん顔を険しくさせた。
「……そうか……あいつら、まだ懲りてねェんだな? よし、わかった。九ちゃん、とりあえず……家ん中に入ろ? 俺と遊ぼうぜ」
ニカッと笑って男の子は言った。
「……うん!」
女の子も男の子につられて、にこりと笑った。
2人はそのまま、手を繋いで家の中に入って行った。
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