第10章 〈沖田&神威〉最強の2人と平凡な私
私は朧げな自分の記憶を辿る。ーー確か、今日は本城狂死郎が経営している『高天原』で万事屋や真選組、その他の歌舞伎町の面々と共にお酒を飲んでいたはずだ。そこで、大分飲み過ぎてしまったことは覚えている。銀さんが調子に乗ってシャンパンタワーを頼んで、それをみんなで乾杯して飲んで……そこからの記憶がない。
「……まさか……」
「そのシャンパンタワーのグラスに、薬を盛らせていただきやした」
ニヤリと口角を上げて、総悟は笑う。
その顔を見て、背筋が凍る。
ー最初から、そのつもりだったということだろうか。
「今頃、他の人たちは眠っているでさァ」
「……ここはどこ? どうして神威までいるの?」
私は努めて冷静に総悟と神威を交互に見る。
「ここは新宿歌舞伎町のホスト街にあるラブホでさァ。こいつは……」
「俺は用事のついでに、バカの顔でも見てやろうと思ってそこら辺を歩いてたら……たまたまあんたたちに出会して、面白そうだから一緒について来たんだ」
神威は目を細めて、楽しそうにニコニコ笑っている。ーーそれが、酷く恐ろしく思える。特にこの2人は何を考えいるのか分からない。気が合わなさそうなのに、変なところで意見が合ってしまったのだろうか……。