第10章 〈沖田&神威〉最強の2人と平凡な私
「……」
目を覚ますと、そこは暗くて辺りに何もない部屋だった。
(……ここは……)
私は周りを見渡して立ち上がり、部屋の出口を探そうとした。が……。
「……え……」
足に力が入らず、その場にへたり込む。
「なん、で……」
立ち上がろうとしても、脱力してしまって自分の意思に従ってくれない。
(私……さっきまで……)
自分が先程まで何をしていたか考えても、何も思い浮かばない。体が考えること、動くことを拒否しているようだ。
「……やっと目を覚ました」
声に反応して、顔を上げる。そこには、鮮やかなオレンジ色の髪の毛を三つ編みにして、にっこりと笑っている神威の姿があった。
「神威……」
どうして、と疑問を口にする前に、神威が私を抱き起こす。
「え、な!?」
そして、私が座っていた椅子へと座らされる。すると、今度は後ろから手が伸びて来た。
「きゃっ!?」
「無駄な抵抗は辞めるでさァ」
茶色い髪の毛が視界の隅に映ったと思うと、両手を椅子の後ろへ回され道具で拘束される。完全に身動きが取れない。
「な!? 総悟! 何してるのよ!」
私は顔だけ後ろを振り返り、総悟と目を合わせる。
「何って、自分がされていることもわからないんですかィ? そんなに薬を盛ったつもりはないんですけどねィ」
「薬?」