第9章 〈銀時〉振り向いてほしい
「私があなたのところへ来る理由……聞きたい?」
「……」
彼は黙ったまま、私から目線を逸らす。ーーきっと、言われなくても彼はわかっていると思うけど……。
「銀さんに振り向いてほしいからだよ」
「……」
彼は黙ったままでいる。
「銀さん……」
頭に大きな手が置かれて、彼は私の横を通って玄関へと向かった。
「銀さん!」
「お前が……」
銀さんは振り向いて、私と目を合わせる。
「数年後、立派なボンキュッボンの女になって、その気持ちが変わってなかったら考えてやるよ」
「……え?」
彼はそのまま、手をひらひらさせて外へと出て行ってしまった。
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