第8章 〈沖田〉今日こそは……
「未夢、明日の9時に歌舞伎町駅に集合でィ! 来なかったら、一生俺の奴隷でさァ」
「……わかった」
私は昨日、恋人の総悟に半分脅しの約束を取り付けられた。
ーー私と総悟が付き合って、早3年。大学生の時にサークルで出会ったのがきっかけだ。彼のことを好きな女の子は私の他にもたくさんいた。彼は顔がとにかくカッコいいから、街で歩いていても目立って仕方がない。そんな総悟と私が付き合えたのは、運がよかったと言われる他に理由が見つからない。アルバイトの帰りにたまたま不審者に追いかけられて、助けてくれたのが総悟だった。その時の総悟はとても男前で……。
「……何で私なんだろ?」
私は空を見上げて、ため息をついた。
ーー私たちはその不審者の件の後、少しずつ仲良くなっていった。そして、いつの間にか付き合っていた。告白したのは、総悟の方からだ。
『お前ともっと一緒にいたいって思っただけでさァ。お前は俺と一緒にいるの……嫌ですかィ?』
思い出して私はまた、ため息をついた。
ーー可愛い子なんて、総悟の周りにたくさんいたはず。神楽ちゃんでも、信女ちゃんでも、もっともっといい子がたくさんいたはず。総悟なら、選びたい放題だろうし……。
「……私のどこがいいんだろう?」