第1章 〈銀魂〉まずは肩慣らし
ーー山間のとある小さな村で、毎晩1人……村人がぽつりぽつりと姿を消していった。村にいる唯一の占い師は言った。
『この村には、“人狼”が紛れ込んでいる』
ーー恐怖に慄く村人たち。だが……偶然にも1匹の人狼を見つけ、捕えることができた。村には再び平和が訪れた。そう思った矢先……。
「し……新八ー!」
「よせっ! 見るな、神楽!」
ある日の朝、新八が無残な姿で発見された。
「どう、して……新八が……人狼はもういないはずじゃ……」
体の震えが止まらない。やっと前と同じような生活が送れると思ったのに……誰も死なないと思ったのに……。
「紛れ込んでた人狼は1匹じゃなかったってことでさァ」
その言葉に神楽は後ろを振り向いて、キッと男を睨み付けた。
「やっぱりお前ダロ! こんなことすんのは!」
「あ? ふざけんなよ。俺が人狼だったら、真っ先にテメェから喰ってらァ」
沖田はベッと大きく舌を出した。
「おい、やめとけ総悟! とりあえず状況を整理しねェと……なァ、万事屋」
土方は新八の死体のそばでしゃがんでいた銀時に声を掛けた。
銀時は目に影を落とした顔で土方を振り向く。ーーいつもの死んだ魚のような目はしていない。瞳だけは鋭く光を放っている。