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キミは何色の夢を見る?

第1章 空色 そらいろ 完


学校の屋上
私のお気に入りの場所

毎日ここに来ては空を眺めてる
青い空にとけてしまえたらいいのに

「…はぁ。」


最近ため息が増えた。

友達もいるし、いじめられてるわけでもないのに、
なんだか毎日がつまらなくて。
贅沢だよね。こんなこと思うの。

「どないしたん?」

聞いたことある声に、振り向けば幼なじみの彼がいた。
市丸ギン、細い眼でいつもニコニコしてる何考えてるかわからない胡散臭いやつ。
でも優しい。
いつも気付けば隣にいる。
ただ隣にいるだけ、けどそれがとても落ち着くんだ。


「別に、何も。」

「そか。
まあそんなときもあるやろ」

私の隣まで来たギンに抱き寄せられる。

「何?」

「嫌か?」

「………いやじゃない。」

ぼそりと呟き、また空を見上げる。
ふっと小さな笑みをこぼすギンは、きっと気づいてるんだろう。
赤く熱をもつ耳と頬に。

「……バカ。」

「素直やないね、さくらは。
そゆとこが、可愛いんやけど。」

そっと額におちてくる柔らかい感触に、もっと赤くなる。
満足げに笑うギン。

恥ずかしくてギンの胸元に顔を隠す。

「ギン。」

「んー?」

「…すき。」

「知っとうよ。
ボクは愛しとるけどね。」

「バカ。」

「ひどいなぁ。」

そう笑うギンに、さっきまで燻っていた虚無感が満たされてるのに気付く。
もう一回言ってとねだれば、ギンは笑った。

「しゃーないなぁ。



さくら、




キミを愛しとーよ。」


私も愛してるよ。本人には絶対言ってあげないけど。
今日はいつもより空が綺麗だと思えた。

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