• テキストサイズ

キミは何色の夢を見る?

第7章 黄金色 くがねいろ 完



いつから追いかけられてるのか、いつからあの化け物から逃げているのか、もうわからなかった。
ただただ生きたい。それだけ。

けれどそれも長く続かない。
走り続けた足はふらふらで、ついには縺れて転んでしまった。
ああ、私はこの化け物に食べられるんだ。
そう諦めて、来る痛みに目をぎゅっと瞑る。

「…ッ。」

だが、いつまでも痛みが襲ってこないことに不思議に思い目を開ける。
目の前には長く伸び揃えられた黄金の髪が、風に揺られていた。
それが特に印象的だった。

「怪我ないか?」

どれだけ見惚れてたのか、あの化け物の姿はもうなかった。
声をかけられそちらを見上げれば、心配そうな目と合う。

「おーい、聞こえとりますかー?」

いつまでたっても返事をしない私に、目の前にしゃがみこめば、顔の前で手をひらひらさせる。

私は頷く事しか出来なかった。
変わった話し方に、耳に心地いい声。
私は一目でこの人に落ちたのだ。
名前も知らないこの男に。







あれから十数年。
私はものすごく努力した。
その結果、見事護挺隊に入隊する事が出来たのだ。
本当はあの人のいる五番隊が良かったけど。
今は十二番隊でも満足してる。
隊長は変わってるし、副隊長はすごく元気で素直じゃないけど、よく気にかけてもらってる。

それにね、
たまにあの人、平子隊長とはたまに会えるから。
ほら、噂をすればなんとやら。
だから私は幸せなの。
たとえ思いが届かなくても。
今、昔よりあの人に近づけたから。











「あ、平子隊長だ。おはよーございまーす、えいっ!!」

「さくら…!お前コラァ。
俺に何か恨みでもあるんか?ん?」

「えー、何言ってるんですかー。
ただの挨拶ですよ。あ、い、さ、つ。」

「んな挨拶があるか!」

「あはは。」

「笑い事ちゃう!」














私ね、とっても幸せなの。
これからもっと頑張ってあの人の背中守れるように。
まだまだ弱いからもっと強くなるよ。
今度は私が平子隊長を守るんだから。



/ 21ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp