• テキストサイズ

神様の悪戯

第5章 不審な出来事


目を覚ますと、全身汗だくだった。

久しぶりに見たあの夢。
ただ今日は、少し違った。

あの男…「…復讐だ。」と呟くあの男の顔を見た気がするのに、思い出せない。

隣を見ると黒川さんはいなかった。

何故か安堵している自分がいた。

「怖い夢でも見たの?」

それも束の間、突然黒川さんの声がした。
顔を上げると黒川さんが寝室のドアに背を預けて立っていた。

「黒川…さん…。」

「汗だくだけど大丈夫?うなされてたし。」

「大丈夫…たまに変な夢見るんだよね。いつも同じ所で目が覚めるの。」

「ふーん…どんな夢?」

「…グシャグシャになったバースデーケーキが床に落ちてて、女の人の悲鳴が聞こえて…男の人が血の海に倒れてるの。それで最後に…顔は見えないんだけどもう一人男の人がいて、"復讐だ"って呟く所でいつも目が覚める。」

「…嫌な夢だね。」

そう言って黒川さんはゆっくりと近付いてきた。

「話違うけどさ、シュリの苗字教えてよ。」

「え?明智だけど…どうして?」

黒川さんはベッドに腰かけた。

「ただ知りたかっただけ。」

「じゃあ…黒川さんの名前も教えてよ。私も教えたんだから。」

「やけに名前にこだわるねぇ。」

「知りたいの。教えて。」

「秘密。」

そう言って黒川さんは胡散臭い笑みを浮かべた。

「…もういいよ。明日学校だから寝る。」

そう言って、黒川さんに背を向けて寝た。

教えたくないのか、教えられないのか分からないが、せめて理由くらい話してほしかった。

黒川さんは謎だらけの人だ。
本当はこんな人と一緒にいない方がいいのかもしれない。

それでも…好きだから。

「お前がいなくなったら寂しいよ。」

あんな言葉を聞いたら、離れられる訳がない。
/ 92ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp