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【おそ松さんR18】君がため

第36章 君がくれる口づけは《カラ松END》




カラ松くんに抱きしめられながら、ふと、どうしてこんなことになっちゃったんだろう、という考えがよぎった。


どうして……

こんなはずじゃなかったのに……


わたしが、カラ松くんの日記を見たせい?

わたしが……存在しているせい?

わたしさえいなければ、カラ松くんも、みんなも、今頃仲良く笑って暮らしていたんじゃないだろうか。

わたしが…わたしが現れたばっかりに。


「カラ松くん……っ」


鼻がつんとして、涙があふれてきた。

わたしは、涙に濡れた顔を、血を吸って赤黒くなったカラ松くんのパーカーに押しつけ、カラ松くんの背中を抱きしめた。


「カラ松くん、ごめんなさいっ……わたし……わたしのせいだ……っ」

カラ松「……な、なんで謝るんだ?さくらは何も悪くない」

「わたしが何もかもいけなかったの…っ、ぜんぶわたしの責任なのっ」


ぎゅうっとパーカーを握りしめると、そこから血が染み出してきて、わたしの手を真っ赤に濡らした。

その赤い血が、ますますわたしの情緒を不安定にした。


「カラ松くんっ……カラ松くんっ……」


狂ったように、カラ松くんの名前を呼ぶ。


寂しい、

怖い、

悲しい、

愛しい……

色々な感情が、怒濤のように胸の中を逆巻いた。


……はは。わたし、なにしてるんだろう。

わたしには、もう何も残っていないんだ。

今、目の前にいる、この人以外、何もない。誰もいない。


「……カラ松くん、好きだよ。今も、昔も、あなたが、好き。だから……」


わたしは、カラ松くんの耳元で、とある言葉を囁いた。

とある言葉……これが、わたしの最後のお願いだ。


カラ松「さくら……」


カラ松くんは、少し驚いたように目を見張り、

そして、優しく笑ってうなずいた。


カラ松「……さくら、ありがとう」


カラ松くんは、そう言って、わたしの唇に己の唇を重ねた。



カラ松くんがくれた口づけは、血の味がした。




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