【ハイキュー!!】夢の続き ~another story~
第3章 episode II :黒尾 鉄郎の楽しみ
小学校から家に帰ってくると、玄関にランドセルを無造作に置いて俺は近所の研磨の家へ駆け抜ける。
『おじゃましまーす!』
大声で中にいるおばさんに声をかけ、向かうは研磨の部屋。きっと今日もあいつは部屋にこもってゲームをしているはずだ。
『けんまー、バレーするぞ!』
ドアを思いっきり開けると、ビクリと肩を跳ね上げ嫌そ〜にこちらをジト目で見る研磨。俺はもう一度、こう言った。
『バレーするぞ!』
「いや。」
すぐに返ってくる拒絶の言葉、いつも通りいつも通り。
こんな言葉で諦める俺じゃない。
『そんなこと言わずに!1本か2本くらい付き合ってくれよ!』
「いや。外は寒いし、動きたくない。」
この言葉もいつも通り。
『動けばあったかくなる!いこーぜ研磨〜』
ぐいぐいと研磨の服を引っ張る。研磨の顔はますます険しくなるばかりで、俺は切り札を言った。
『今度アップルパイおごるからさ〜』
ぴたり、とゲーム機をいじる手が止まる。も、すぐにまた忙しなく動き出し、当の本人はただ液晶に目を落としていたのだった。
「そんなこと言っていつもお金ないとか言ってるじゃん、クロ」
ぬ……。くそぅ、この作戦は失敗か。
まあ確かに最近お金ないからこの手口は俺的にも不利だ。