第4章 Episode3【特別な日】
九条さんと公園で会ってから、早一週間が過ぎて、TRIGGERのライブを明日に控えた今日、私は初めて九条さんにラビチャを送ることにした。
「チケット当選した事と、返事の事と事前に言っておかなくちゃ」
緊張気味に画面を開いて、簡潔に用件を書き込んでおく。時刻は昼の1時過ぎで、運がよければ休憩中かもしれない。
仕事中に携帯が鳴ったら迷惑だもんね。九条さんの事だから、マナーモードにするか、電源を切ってそうではあるけど。
そんな事を考えながらそわそわと、画面を見ていると、既読の文字が目に付く。
『了解です、ライブ楽しんで』
たった一文。それが自分でも驚くくらいに嬉しくて、ギュッと携帯を握りしめた。
*翌日
「凄い人……」
まだ開演まで時間はあるのに、本当に九条さんと話せたことが、どれほど凄いことか思い知らされる。
TRIGGERのライブ、来るのは久しぶりだけど……楽しめたらいいな。
それに、この間の話もしっかり考えて返事をしないと。
何度も考えた事を脳裏に浮かべながら、ライブが始まるまで周辺を見て回ることにした。