第7章 煙管の味
「…フーッ……」
いつも晋助様が吸っている煙管。
晋助様は仕込み刀と同じように、いつも大切そうにその煙管を持ち歩いています。
どんな味なんだろう。
晋助様にとって、特別なものなのでしょうか。
「……なんだ」
そんなことを考えていたらじーっと高杉のことを見つめてしまっていたらしく、煙管を吸っていた高杉にいきなり声をかけられて我に返った。
「あっ、いえ……すみません」
「……コイツか?」
高杉は煙管に目線を送ってみせた。
「えっと……晋助様はいつもその煙管を大切にされていますね」
高杉に一歩近寄ってじーっと煙管を見つめた。
高杉がいつも吸っているのは羅宇煙管と呼ばれるもので、いつも吸い口や雁首、火皿の鉄でできた部分は金色に光り輝いていた。
「晋助様にとってその煙管は特別なものなんですか?」
「…そうだな、」
高杉は煙を吐き出してから言った。
「煙草でも葉巻でもねェ。俺はコイツの味が好きだ。」
「煙管の味、ですか…」
そう言われるとなんとなく気になる。
どんな味なのだろうか。
「…どんな味なんですか?」
「吸ってみるか?」
晋助様はどんな味が好きなのでしょう。
そう思ったが、高杉が大切にしているものに迂闊に手を出してはいけない気もした。
「…少し、気になります」
いつも高杉が煙管を吸っている姿を見て思う。
煙管を咥えている姿、煙を吐き出す姿。
その仕草全てが色っぽくて艶やかだった。
いつもこんなに近くで煙管を吸う姿を見られるのは幸せだし、やはり高杉が煙管を吸う姿は大好きだった。