第29章 鬼が哭いた日 \❤︎/
「だからっ…晋助様にはもう辛い思いをしてほしくないです、晋助様が辛いとわたしも辛いです、」
「…なんでお前が泣いてるんだ」
「…だってぇ……っ」
゛同じ存在 ゛、か。
「…俺だって同じだ」
凛がいなくなった時のことなんて考えられない。考えたくもない。
コイツがいなくなったら、俺は今まで通り生きていけるだろうか。
この女のためなら、本物の鬼になってもかまわないと思った。
「…お前だけは俺を置いていくなよ」
「…晋助様だって、」
きっと、依存して生きている。
「…わたしには晋助様が必要です」
凛に強く抱きしめられて、高杉も凛を抱きしめる腕に力を込めた。
俺には護るものなんぞ必要ないと思ってたのにな……
また護るべきものができてしまった。
もうあんな思いは二度と御免だ。
その為ならば、今度は自分のこの身を捧げることも厭わない。
「…腹減った」
~ 鬼が哭いた日 ~