第26章 好きだから
「…晋助様?」
気持ちよさそうに見上げてくる凛を抱きしめると、いきなりのことに赤くなる凛を抱きしめる腕に力を込めた。
「晋助様っ?…どうしたんですか?」
「…ただ抱きしめたくなっただけだ」
あたふたする凛の頬や耳に唇を寄せると、体がぴくっと震えて高杉は凛から手を離した。
「…いきなり悪かったな」
「…晋助様?」
「…?」
「…触れたいと思ってくださるのなら、いつでも触れてくださってかまわないのに」
凛も高杉の背中に腕をまわすと、見上げて言った。
「…晋助様が望んでくださるのなら、わたしはいつだって晋助様のお側にいて……」
「……」
凛は体を離して高杉の指に自分の指を絡めた。
「わたしがいつだってお側にいて………って、わたしっ!」
近くなる唇に、いきなり恥ずかしくなったのか凛は真っ赤な顔をしてバッと顔を背けた。
「すみません、わたしったらこんなこと……!」
両手で顔を隠す凛に、高杉は優しく頭をなでた。
「凛」
「…はいっ」
「いつも感謝してる。ずっと此処にいろよ」
「…えっ…えっ??」
思ってもみなかった高杉の言葉にさらに凛は真っ赤になると、俯いて着物をぎゅっとにぎりしめた。
「…えっと、あの、……はいっ!」
とても恥ずかしそうに、けれどとっても幸せそうに笑う凛を見て、高杉も笑った。
~ 好きだから ~