第26章 好きだから
「…」
先程から忙しなく動く凛を、ぼーっと高杉は眺めていた。
部屋の掃除や衣類の洗濯、そして食事の支度などいつも凛が全て行ってくれている。
現在は高杉のことだけでなく手のまわることは全て凛が行っているし、男だらけの鬼兵隊では凛はなくてはならない存在となっていた。
今も目の前で凛は乾いた着物を綺麗にたたんでいる最中だった。
「…凛」
「はい」
「貸せ。テメェのものくれーテメェでやる」
「でも、わたしがやるので大丈夫ですよ」
「いい。お前は少し休め。朝から働きっぱなしだろ」
そう言ったが、凛はまだそばにあった高杉の着物を掴んで言った。
「では、二人でやりましょう?その方が早く終わります」
「…ああ」
そう言って微笑む凛をまた眺めて思う。
真っ直ぐで純粋な瞳、そして優しい微笑み。
自分が穏やかでいられるのはコイツのおかげだと。
小さくて華奢な体を見ると、触れて抱きしめたい衝動に駆られる。
「…晋助様?」
「…っ」
しばらく無意識に凛を見つめてしまっていたらしい。
すぐに我に返ってまた手を動かした。
「…どうかしましたか?そんなに見つめられると恥ずかしいです…なんて!」
「…いや、何でもねェよ」
恥ずかしそうに笑う凛に、また触れたい思いが強くなって高杉は凛に手を伸ばして優しく頭をなでた。