第25章 かっこいい!かわいい!だいすき!
「…ふふ」
無言で抱きしめてくる高杉が可愛くて、凛は胸に抱き寄せて優しく頭をなでた。
「どうしたんですか?今日はずいぶんと甘えたさんですね」
「…うるせえよ」
かわいい。
無言で甘えてくるところも、素直じゃないところもただただかわいくてきゅうっと胸を掴まれたかのようだ。
いつもはとってもかっこいいけれど、普段見せることのないような高杉の姿に愛しさが込み上げて自然と笑顔になって、高杉のこんな姿が見られるのも自分だけならいいな、なんて思ってしまう。
「…晋助様かわいい」
「…」
不器用な彼なりの精一杯の甘えなのだろう。
凛は愛しさで高杉の紫の髪にキスをしてさらにぎゅっと抱きしめた。
こんな風にたまにかわいいところも、かっこいいところも全部ぜんぶ、
「…大好きですっ」
「……」
好きと伝えると、下から頭を引き寄せられてそのまま口付けられた。
「…晋助様照れ隠しの仕方もかわいいです」
「…うるせえな」
「あっ…つい声に…」
凛は口を噤むと、はっとしたように思い立った。
「そういえば食材たくさん買ってきたんです!ご飯作りますね!何食べたいですか?」
「…あぁ?」
「晋助様においしいもの食べて欲しくてたくさん買ってきました!晋助様ったらいつもお忙しいんですから、たくさん食べて精をつけてくださいね。あ、ヤクルコも買ってきましたよ」
「…だから一人で出掛けたのか?」
「そうです!」
「…」
笑顔で答えると、また高杉に無言で抱きしめられて凛は顔を赤く染めた。
「…ったく…」
「…ふふ、ご飯の用意しますね」
高杉を抱きしめ返すと、凛は幸せそうに笑った。
~ かっこいい!かわいい!だいすき! ~