第24章 真っ赤 \❤︎/
「…凛」
高杉は真紅に色付く凛の唇を眺めると、頭を掴んで引き寄せた。
「…晋助さま、口紅が付いてしまいます」
「構わねえ」
近づく唇に、凛は応えるようにそっと目を閉じる。
きっと、あと少しで唇が触れる。
そう思って、うるさく鳴り響いて止まない鼓動を高杉に知られたくなくて凛は息を止めた。
「……っ」
けれど、少し待っても唇には何も触れた感触がない。
この間の時間がとても長く感じて、凛はうっすらと目を開けた。
「…?」
すると、そこにはこちらを見てニヤリと笑う高杉の姿があった。
「…ぇ」
「…クク、」
なんだか急に恥ずかしくなって、凛はすぐさま顔を逸らした。
「…晋助、さま?」
「どうした?」
「え?」
「口付けられると思ったのか?」
「…えっ…違うんですか…?」
「するなんて一言も言ってねえぞ」
その瞬間に顔がバッと赤くなるのを感じて凛は両手で顔を抑えた。
チラッと高杉を見れば、意地悪そうに笑う高杉にさらに恥ずかしさが増して顔を見られないようにそっぽを向いた。
「…晋助様のばか」
「なんだ?して欲しかったのか?」
「…別に、キスなんてして欲しくないですもん」
本当はキスしたかったなんて絶対に言えなくて、凛は悔しそうな顔でまた高杉を見た。
「…キスなんていつでもできます!」
すると凛は高杉の着物の襟を両手で掴んで引っ張ると、引き寄せられた高杉の唇に自分の唇を押し当てた。
「…っ」
唇を離すといきなりのことに目を丸くする高杉の顔を見て、凛はとても満足そうだ。
まるで今までのことが逆転したような快感に、凛は小さく笑った。