第15章 白昼夢
ーーー夢を見ていた。
それは遠い昔の夢。
幼い頃の記憶。まだ微かに頭の片隅に残っている記憶。
とても天気が良く暖かい日。
優しい太陽に包まれたまま、気付けば広い草原の中で眠ってしまっていた。
ふと目が覚めて横を見ると、自分と同じくらいの年の紫の髪の男の子がまだ寝息をたててスヤスヤと眠っている。
その姿に安心して、少女はまたゆっくりと目を閉じた。
それからどのくらい眠っていただろう。
目を開けると空は真っ赤で、もう陽は沈みかけているようだった。
まだ少し眠い目をこすりながら起き上がって隣を見ると、そこには誰もいなかった。
ハッとして、すぐさま立ち上がって辺りを見渡しても少年の姿どころか人の影すらない。
不安になって名前を呼んでも返事はない。
歩いて探し回ってみても地平線に続く草原には誰もいないし終わりも見えない。
そうこうしているうちに完全に陽は沈んで、真っ暗になって遠くで月と星が輝いているだけだった。
また、一人ぼっちになってしまった。
少女は泣きながら、ただ少年の名前を呼び続けた。