第14章 Spirits \❤︎/
なんだか今宵の艦はガヤガヤ。
船員の皆がご馳走や酒を持ち込んで個々で仲間達とお祭り騒ぎを繰り広げていた。
「久しぶりに宴ッスー!」
「そうだな、このようなことは久しぶりでござる」
「凛さんもたくさん食べて飲んでくださいね」
いつも何かとピリピリしている鬼兵隊だが、今宵はそんな日常が嘘のように皆笑顔で楽しんでいた。
「ほら、凛もたくさん食べろ」
「あ、ありがとうございます。万斉さん」
この艦で一番広い大部屋に皆集まることなんて滅多にない。
皆の楽しそうな顔を見ているとこっちもなんだか楽しくなってきて、凛は隣で騒ぐことなく静かに酒を飲む高杉に目をやった。
「晋助様もたくさん飲んでくださいね。どうぞ」
凛は高杉が持つ御猪口に酒を注ぐと、 高杉はゆっくりと注がれた酒を口にし言った。
「今日くらいお前もあいつらと騒げばいい。酒なら一人で飲める」
「でも、」
「構わねェさ」
「おーい凛!こっち来るッスよ!」
向こうで楽しそうに騒ぐまた子達から呼ばれると、高杉は凛が手にする徳利を床に置いた。
「行ってこい」
「…ありがとうございます!」
高杉に微笑むと、凛は立ち上がってまた子の隣に座った。
「凛〜今日くらいはたくさん食べて飲むッス。たまにはハメをはずすことも必要ッスよ」
「ありがとうございます。では、」
また子が取り分けてくれた皿を受け取ると、その隣には既に酒で出来上がった船員に肩を引き寄せられて、瓶のままの酒を渡された。