第5章 「 再会 」 田中龍之介
それでも違うと言い張る私を見て龍はあきらめたように言った。
「人違いなのはわかった。でも、本当、すっげえ似てるんだって。」
「そうなんですね~。」
「どういうやつかって言うと、まあ、高校時代の彼女なんだけど。」
「はあ。」
「いや、またそいつがさ!!すぐに俺のこと殴ったりとかするわけ!普通に!!暴力的で、ガサツで、大雑把なんだわ。」
まじで!こいつ!!!
失礼!!!!
いつか殺す!!!
「へ~。そうなんですね~。」
「かわいいパンケーキっていうより、がっつり肉!!ってタイプでよ~。まあ、気が合ったから付き合ってたんだけど。」
「そうなんですね。」
「半年くらい付き合ってな、まあ、ケンカ別れしちゃって。ちゃんと謝れなかったこと、後悔してんだよな…。」
そうそう。
ケンカの理由も大した理由じゃなかったよね。
理由をちゃんと覚えてないくらい、小さなケンカ。
でも、お互い意地を張って、謝れなくて、そのまま自然消滅。
まあ、私もあの時のこと、ちゃんと謝れなかったこと、後悔はしてる。
「だから、真由、ごめんな。」
「えっと、その…。」
「って、人違いなんだもんな。悪い!変なこと言って。」
とは、口では言ってるけど
もちろん龍は私が私であるとわかって言ってる。