第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
今日は、ツッキーに誘われて放課後図書室で一緒に勉強をしている。
図書室には私たち以外誰もいない。
それでもツッキーはいつもより、少し小さな声で話しかけてきた。
「石井さんさ、最近、影山と喋ってないね。」
「そうなんだよね。なんか、そっけなくて。」
私が苦笑いして言うと、ツッキーは笑顔で
「その分、こうやって僕と喋ってくれる時間が増えて、嬉しいけどね。」
と言った。
その言葉に思わず、大きな声が出る。
「ちょっと!不意打ち!!ひどい!」
「別にひどくはないでしょ。」
ツッキーは「あと、ここ図書室だから。」と付け加え、静かに話すよう促した。
「はずかしいから!そういうの!!」
「僕のこと、たくさん考えて欲しいから、こういうこともたまには言わないとね。」
ツッキーはこういうとき、いい笑顔するよね。
余裕のある顔。
「そんなこと言われなくても、割とツッキーのことは考えてるよ。」
私がそう言うと、珍しくツッキーが驚いた顔をしたかと思うと、机に突っ伏した。
「何?照れてるの?」
「違う。」
「照れてるんでしょ!!」
私がそう言うと、ツッキーは真っ赤な顔をこちらに向けた。
「ツッキーでも、そんな顔するんだね!」
「誰のせいだと思ってるの?」
そう言うツッキーをかわいいと思った。